泌尿器は、分泌する臓器である副腎、前立腺、腎臓、精巣(精巣上体)と排尿に関係する腎臓、尿管、膀胱、尿道、そして生殖と性行為に関係する精巣、陰茎を対象としています。泌尿器臓器には、前立腺がん、膀胱がん、排尿障害、男性更年期障害、EDなど、加齢と関係のある疾患が多く、たとえば排尿機能、性機能の低下はQOLを著しく損なうと同時に、生命予後についてのリスクファクターであることが最近認識されるようになりました。さらに、メタボリックシンドロームとの関連についての研究報告など、泌尿器領域の抗加齢医学研究が昨今注目を集めています。また前立腺癌は現在わが国において最も増加している癌で、欧米では既に男性が罹患する癌では最も頻度が高くなっていますが、抗加齢医学に基づく生活様式の変容が前立腺癌の予防や治療に有効であるとするエビデンスも出てきています。そのため、従来の泌尿器科における臓器や部位別の研究を超え、内分泌からメンタルまでを視野に入れた、身体全体を包括的に捉えた泌尿器科学研究が必要となってきています。
このような状況に鑑み、抗加齢医学のアプローチにより、泌尿器疾患について新しい見方で考えていく必要性が高まっていることから、このたび分科会として泌尿器抗加齢医学研究会を発足することになりました。泌尿器抗加齢医学研究会では泌尿器疾患での抗加齢医学研究を促進するとともに、他の専門分野との横断的な臨床および基礎研究を行い、社会の要請に応えていきたいと考えます。泌尿器疾患に興味のある方は泌尿器科医に限らず、ぜひ一緒に楽しく学び、議論していきましょう。
代表世話人 堀江 重郎
熊本 悦明 日本臨床男性医学研究所 所長 |
頴川 晋 東京慈恵会医科大学 泌尿器科学講座 教授 |
大家 基嗣 慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室 教授 |
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大山 力 弘前大学医学部 泌尿器科学講座 教授 |
岡田 弘 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科 教授 |
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小川 良雄 昭和大学医学部 泌尿器科学教室 教授 |
永井 敦 川崎医科大学 泌尿器科学教室 教授 |
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堀江 重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学 教授 |
植村 天受 近畿大学医学部 泌尿器科教室 教授 |
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井手 久満 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科 准教授 |
増田 均 国立がん研究センター東病院泌尿器・後腹膜腫瘍科科長 |
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松本 成史 旭川医科大学 教育研究推進センター センター長・教授 |
奥井 伸雄 医療法人ウローギネ・ネット よこすか女性泌尿器科 理事長 |
抗加齢医学は「元気で長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学」と定義されている。平均寿命の延長に伴う高齢化社会において、高齢者の健康増進や予防医学は重要性を増しているが、寿命を延ばすだけでなく、老化による心身の衰えを防ぎ、いかに高いQOLを維持するかをテーマにする抗加齢医学は、高齢者の自立を促すのみならず、社会的生産性を維持するためにも重要な医学である。その中においても泌尿器科学は、前立腺がん、膀胱がん、排尿障害、男性更年期障害、EDなど、加齢と関係のある疾患が多く、また、メタボリックシンドロームとの関連についての研究報告など、泌尿器科領域の抗加齢医学研究が昨今注目を集めている。そのため、従来の泌尿器科における臓器や部位別の研究を超え、内分泌からメンタルまでを視野に入れた、身体全体を包括的に捉えた泌尿器科学研究が必要となってきた。
泌尿器抗加齢医学研究会では、泌尿器科領域における加齢と老化のメカニズム研究を促進するとともに、他専門分野との横断的な臨床及び基礎研究を行い、泌尿器抗加齢医学分野の知識・技術向上を図ることを通じて社会要請に応える組織となるべく、積極的かつ恒常的に活動していく。
本研究会は、下記に掲げた泌尿器科領域の抗加齢医学に関する事項を実践、推進することを目的とする。
1 | 泌尿器科における抗加齢医学研究と臨床の促進 |
2 | 泌尿器科抗加齢医学における多施設共同研究の推進 |
3 | 泌尿器科における抗加齢医学診療ガイドラインの作成 |
4 | 泌尿器科における抗加齢医学研究成果の発表 |
5 | 泌尿器科における抗加齢医学の国際学会との交流 |
6 | 泌尿器科における抗加齢医学の啓発活動 |
7 | 研究会活動報告や研究内容に関するレポート及び書籍の発行などの情報提供 |
8 | 泌尿器科領域の抗加齢医学に関する教育と指導者の育成 |
9 | 泌尿器科領域の抗加齢医学に関する医薬品、医療機器、サプリメントの 開発と製造、使用法に関する指導と協力 |
10 | その他、泌尿器科領域の抗加齢医学に関する全般の活動 |